絵本のような可愛い画風と壮絶で過酷な物語のギャップが凄まじい。謎の大穴「アビス」に挑むファンタジーマンガ『メイドインアビス』

絵本のような可愛らしい表紙に釣られると、痛い目を見ます。猟奇的・グロテスクな表現が苦手な方には、ちとキツイかも。

メイドインアビス 1 (バンブーコミックス)

メイドインアビス 1 (バンブーコミックス)


人類最後の秘境と呼ばれる、未だ底知れぬ巨大な縦穴「アビス」。その大穴の縁に作られた街には、アビスの探検を担う「探窟家」たちが暮らしていた。彼らは命がけの危険と引き換えに、日々の糧や超常の「遺物」、そして未知へのロマンを求め、今日も奈落に挑み続けている。

ヒロインのリコは孤児院で暮らす探窟家見習い。アビスへの憧れが人一倍強い彼女は、母のような偉大な探窟家になることを夢見ていた。ある日の探窟で、リコは謎の存在に生命の危機を救われる。その何者かが放った熱線の跡を辿ると、そこには少年そっくりのロボットが倒れていた。

引用元:メイドインアビス - Wikipedia

たまたまプライムビデオで配信しているのを見かけて何となく観てみたのですが、かなり緻密に作り込まれた世界観の、壮絶で過酷な内容のファンタジーで、良い意味で期待を裏切られました。

可愛い画風とは裏腹に、猟奇的・グロテスクな表現が多いです。このコントラストの強さから受けるギャップは凄まじく、その世界観に引き込まれ、アニメを一気観。その後、コミックを全巻購入しました。

主人公のレグはリコに出会う前の記憶を失っています。レグも自分たち読者も、レグが何者なのか、アビスの底に何があるのか知らないし、知りたいと思っているので、すんなりと感情移入できます。

冒頭で書いた通りグロい表現もありますが、魅力的なキャラクターたちが壮大な世界観の中で過酷な冒険を繰り広げていく骨太な物語ですので、かなり読み応えがあります。

皆さんもレグとリコと一緒に、アビスの深層に旅立ってみませんか?

原作のつくしあきひと先生のインタビュー記事も面白かったです。ネタバレ要素があるので、原作を読むかアニメを観た後にご覧ください。

余談ですが、このインタビュー記事で個人的に印象に残ったのが、先生の以下の言葉でした。

 でも言ってみれば、人間は何かの途中で死ぬわけだから。そういう意味でリコは選んだんですよ、ワクワクする自殺を。

―― ワクワクする自殺……!

 そうしないで地上で生きた人はワクワクしない日常を送ることになるんですよ。「行けばよかったかな……」と思いながら死んでいくかもしれない。でもリコは行った。行っちゃうんですよ。

引用元:なぜ大穴は理不尽がいっぱいなのか 『メイドインアビス』の作者つくしあきひと、初インタビュー (3/3) - ねとらぼ

うーん、これはオースの街の住人だけではなく、地球に住む私たちにも当てはまる言葉ですね…。